火災保険はなぜ必要なのか!
不動産を所有されている方で火災保険や地震保険に加入されていない方は少ないと思いますが、では、そもそもなぜ必要なのか?加入していなかった場合はどうなるのか?ということまで考えていない方が多い印象です。この記事を読めば保険加入の必要性がしっかりと分かり納得の上で加入することができます。
自分の身は自分で守る!
結論から言うと、自分の身は自分で守るためです。
私は保険を専業として、火災保険をメインに15年仕事をしてきました。その中で、お客様と接するにあたって、そもそも保険を、”なぜ加入する必要があるのか”を理解していない方が多いと感じております。そういう方は”なんとなく”加入している方が多く、加入する必要性も分かっていないため、何か事故があっても保険の対象外であったりすると、”保険なんて入る意味ないよね”だったり、”保険なんて役に立たないね”となります。
出火原因が自分や天災の場合は損害賠償を受けられない
ご自宅については、ご自身で火の始末をしっかり管理されていると思います。でも万が一、自分や家族などの不注意により火事を出してしまい建物が燃えてしまっても、第三者に対して損害賠償を請求することはできませんよね。天災も同様です。
火元が第三者の場合でも損害賠償請求が困難である
お隣から延焼の場合どうなるのか?
一番多い質問が、自分では火事をだすことは無いと思うが、お隣さんが火事を出してしまい、自宅に延焼した場合は賠償してもらえるのか?または、賠償してもらえるから火災保険は必要ないんじゃないの?というものです。しかし、出火原因が第三者によるものであれば損害賠償請求が可能な場合もありますが、実際は困難になります。その理由としては、「失火責任法」が挙げられます。
失火法について
失火責任法は、特別法として、民法709条 に優先的に適用されます。
失火ノ責任ニ関スル法律(失火責任法)
民法第709条ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ重大ナル過 失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス
失火を原因とする不法行為については、加害者に重過失がない限り、損害賠償請求権が発生しません。お隣さんからの延焼の例ですと、お隣さんの過失により火事になり延焼して建物が燃えてしまったとしても、失火法により損害賠償請求ができないのです。
また、加害者に重過失がある場合は、失火法が適用されず、加害者に賠償義務が発生しますが、火災は延焼などにより被害が拡大することもありますので、その全てを賠償することは難しいのです。
出火の原因第1位は放火!
平成27年消防統計によれば、出火原因の第1位は放火であり、 放火の疑いを含めると全出火件数39,111件中4,033 件、16.6パーセ ントを占めています。被害者は放火犯へ損害賠償請求を行うことができますが、賠償されるかどうかは運次第です。
出典:総務省消防庁 消防統計 平成27年における火災の状況(確定値) 「出火原因の内訳」
火災以外の場合は
火災は、失火法があるため火災保険に加入する必要性があるとわかりましたが、火災以外はどうでしょうか。例えば、北海道の不動産屋さんの爆発事故がありましたが、爆発により所有建物が損害を受けた場合に賠償してもらえるのでしょうか?
爆発の場合
破裂・爆発は失火に当たりませんので、 失火法の適用にはならず加害者に損害賠償ができます。しかし、加害者が賠償を行う資力があるかどうかは運次第です。
台風や雪害の場合
昨年9月に上陸した台風15号の強風で、千葉県市原市のゴルフ練習場の鉄柱が住宅に倒れ込んだ事故がありましたが、被害者はゴルフ練習場へ損害賠償請求できるのでしょうか?
この場合、台風は天変地異になりますので、損害賠償請求はできません。雪害などの被害も同様です。 このような被害について、ご自身で火災保険に加入しなければ十分な補償を受けることは難しいのです。
災害リスクから身を守るためには、それぞれ自分自身で対策が必要であり、火災保険の加入が必須です。
今回は風災ですが、近隣からのもらい火も同じで、失火法により賠償されません。 https://t.co/LAymKJbF9u— 大家さんの保険ドクター (@jisin100) September 17, 2019
まとめ
上記理由により、自分の身は自分で守るため火災保険に加入する必要があります。
火災保険の保険料は、同じ財物を補償する自動車保険の車両保険料と比べても、保険金に対する保険料の割合が低廉であるため、加入のメリットは大きいのです。経済面でいえば、住宅ローン等を組む場合、火災保険の加入が条件とされる場合もあります。 これは、住宅ローンに際し設定される建物に対する抵当権の担保価値が 火災によって毀損するリスクに対応するためです。
もちろん, 火災保険契約の保険料には保険会社の経費及び利潤を含むことから、多数の建物を所有し、危険を分散することが可能な場合であれば、火災保険加入の必要性は低くなります。 しかし、特に家計分野において、所有者が自ら危険の分散を図ることは不可能に近いので、火災による損害をてん補する現実的な手段は、唯一、火災保険契約への加入だと考えられるわけです。